Google DeepMindは9月30日、新世代モデル「Gemini 4 Argon」を発表しました。最大の特徴は出力上限の引き上げで、従来の64K(6万4000)トークンから100万トークンへと拡大しています。長期間にわたる複雑な業務を一度に処理できる点が狙いです。
ポイント
- 出力上限を64Kトークンから100万トークンに拡大
- まず信頼できるサイバー防御関係者に提供し、その後開発者や企業へ段階的に展開
- ソフトウェア工学の評価「DeepSWE v1.1」で77.9%を記録
- 導入期間中の価格は入力100万トークンあたり2ドル(約310円)、出力10ドル(約1550円)
出力上限とコンテキストウィンドウの違い
トークンはAIが文章を処理する単位です。今回拡大したのは「一度にどれだけ生成できるか」を示す出力上限で、入力側の上限であるコンテキストウィンドウとは異なります。
出力上限が大きくなると、モデルは単一のタスクで数十万から百万文字規模の文章を分割せずに生成できます。大規模なコードベースの移行や長文の技術報告書、多段階の自動化処理で、全体を通した一貫性を保ちやすくなります。現在の一般的な先進モデルの出力上限は約12万8000トークンで、Argonの水準はこれを大きく上回ります。
対象分野と評価結果
Argonは一斉公開ではなく、段階的に提供されます。まず信頼できるサイバー防御の関係者に配布し、その後開発者、企業、サブスクリプション契約者へと広げる方針です。
Googleはこのモデルを「複雑で長期的なワークフロー」に特化させ、ソフトウェア工学、法務、金融、サイバーセキュリティ防御を主な対象としています。
主な評価結果は次のとおりです。
- 長時間のソフトウェアエンジニアリングを測る「DeepSWE v1.1」で77.9%
- 金融・プログラミング・法務・税務の加重平均を示す「Vals指数」で首位
- Zapierの「AutomationBench」で51.3%を記録し1位
- 長動画理解の「LVBench」で91.7%を記録
視覚面では専門的なグラフの扱いや、長動画からの細部の抽出、文書をまたいだ操作にも対応します。
セキュリティ対策と価格
サイバーセキュリティが今回の発表の主要テーマです。Argonは重要な脆弱性を自ら発見・検証し、修正できるよう訓練されています。信頼できる防御関係者とGoogle社内チームには、制限を外したバージョンも提供されます。
セキュリティ企業のWizは「Scan for Good」プロジェクトでこのモデルを使い、世界中の病院向け医療ソフトウェアに含まれる深刻な脆弱性を発見しました。以前の先進モデルでは見逃されていたものです。脆弱性修正を測る「CWE-bench v1」では68%で首位に並びました。
価格は2段階です。導入期間中は入力100万トークンあたり2ドル(約310円)、出力10ドル(約1550円)で、以降はそれぞれ4ドル(約620円)と20ドル(約3100円)になります。
Googleは広く提供する前に、誤用防止、プロンプト注入対策、誤った推論過程の監視、サンドボックスの強化という4つの対策を進めています。すでに数千人のGoogle従業員がコードのデバッグやアルゴリズム設計、大規模なコード移行に利用しており、量子アルゴリズムの分野ではこのモデルにより数分で基準が40%向上したということです。
