アメリカの起業家、アーロン・ドゥーザ氏は、人工知能(AI)と専門の調査員を組み合わせてニュース報道の事実確認を行う新たなプラットフォーム「Objection」を立ち上げたと発表しました。メディアに対する信頼が低下する中、報道の透明性と説明責任を向上させるシステムを構築する方針です。
ドゥーザ氏によりますと、アメリカにおけるジャーナリズムへの信頼度は過去50年間で70%から30%に急落しているということです。この課題を解決するため、同氏は著名な投資家であるピーター・ティール氏などから数億円(数百万ドル)規模の資金を調達し、新たなプラットフォームを開発しました。
このシステムでは、元捜査機関の職員などによる人間の調査員と、複数の主要なAIモデルを組み合わせ、公開された報道内容の事実関係を検証するとしています。異議申し立ての費用は約31万円(2000ドル)からに設定されています。名誉毀損の裁判には約7億7500万〜15億5000万円(500万〜1000万ドル)の費用と長い年月がかかることから、より安価で迅速に事実確認を行える代替手段を提供する狙いがあるということです。
一方、報道関係者からは、このシステムが匿名情報源の利用を難しくし、内部告発を萎縮させるのではないかという懸念が示されています。これに対しドゥーザ氏は、暗号化技術を活用し、情報源の匿名性を保ちながらAIが証拠の信頼性を評価する仕組みを導入する方針を明らかにしました。
また、資金力のある企業や個人が批判的な報道を抑え込むためにシステムを悪用するおそれがあるとの指摘について、ドゥーザ氏は、検証のプロセスやアルゴリズムをすべて公開することで透明性を確保するとしています。さらに、社会に大きな影響を与えるAI企業に対しても、同様に高い水準の透明性が求められるべきだとの考えを示しました。
同社は、裁判や科学的な査読プロセスをモデルにしたこのシステムを通じて、誰もが公平に事実確認にアクセスできる環境を整備していくとしています。