自動運転スタートアップの「ウェイブ(Wayve)」は、アメリカのIT大手アルファベット傘下の自動運転開発企業「ウェイモ(Waymo)」で最高財務責任者(CFO)を務めたエリザ・デ・マルテル氏を、自社の新たなCFOに起用したと発表しました。2024年からCFOを務めていたマックス・ウォーバートン氏は、経営陣を支援する戦略アドバイザーに就任するということです。
ウェイブは現在、自動運転技術の開発やテストの段階から、ロボタクシーと乗用車の2つの分野で技術を実用化する段階へと移行しつつあります。今回の起用は、この重要な時期に行われました。
デ・マルテル氏はカリフォルニア州サニーベールを拠点とする予定です。これまで、産業用3Dプリンター企業の「カーボン(Carbon)」でCFOを務めたほか、「アップル(Apple)」で製造財務担当ディレクターとして11年間勤務するなど、テクノロジー企業での豊富な経験を持っています。
ウェイモでは2022年から2025年1月までCFOを務めました。この期間は、同社が複数の都市で商業運行を開始した重要な時期にあたります。また、親会社が主導したシリーズCの資金調達ラウンドで56億ドル(約8680億円)を調達し、企業価値を450億ドル(約6兆9750億円)以上に押し上げる実績を残したということです。
ウェイブも現在、同様に極めて重要な転換期を迎えています。同社は2017年に設立され、現在の企業価値は約85億ドル(約1兆3175億円)と評価されています。自動運転ソフトウェアに対する自己学習型のアプローチが評価され、投資家や自動車メーカーから注目を集めています。
同社は、高精度な三次元地図や専用のハードウェア、手作業で組み込まれたルールに依存しないソフトウェアを開発しました。エンドツーエンドのニューラルネットワークを活用し、データのみを用いて車両に運転方法を学習させる仕組みだとしています。
この技術は、ドライバーの監視が必要な運転支援システムと、特定の環境下でシステムがすべての運転を担う完全自動運転システムの2つの製品の基盤となっています。これらは、ロボタクシーや一般向けの乗用車に応用できるとしています。
特定のハードウェアに依存しないというウェイブの技術的特徴は、すでに特定のシステムを導入している自動車メーカーからも高く評価されています。また、これまでに32億ドル(約4960億円)の資金を調達しており、より高度な自動運転技術を用いてロボタクシーを展開したい「ウーバー(Uber)」などの企業からも投資を集めています。
関係者によりますと、デ・マルテル氏の財務責任者としての優れた経歴に加え、最先端の「ディープテック」分野に精通している点が、アレックス・ケンドール最高経営責任者(CEO)をはじめとするウェイブの経営陣にとって特に魅力的だったということです。
ウェイブのCFOとして、同氏は財務戦略や計画、資本配分、報告、ガバナンス、資金管理、税務を統括する方針です。また、経営陣と緊密に連携し、商業取引や投資家対応、戦略的パートナーシップに関する支援や助言も行うとしています。
ウェイブはこれまでに、日産自動車やステランティスなどの自動車メーカーとパートナーシップを締結しています。ロボタクシー向けの自動運転システムの開発も進めており、最近ではイギリスのロンドンで、安全確認のためのオペレーターが同乗する形での一般向け乗車サービスを開始しました。近い将来、東京でも同様のサービスが開始される見通しだということです。
同社は今後、初期の限定的な展開という不安定な段階を乗り越え、自動車業界向けの量産サプライヤーへと成長することが課題となっています。
