韓国のIT大手サムスン電子は、利用者のインターネット回線を第三者と共有する機能を持つスマートテレビ向けアプリについて、今後の配信を禁止し、既存のアプリも削除する方針を決定したと発表しました。ノルウェーのサイバーセキュリティー企業による調査で、数百万台のテレビが乗っ取られるリスクが指摘されたことを受けた措置だということです。
ノルウェーのセキュリティー企業「Mnemonic」が発表した調査結果によりますと、サムスンのスマートテレビ向けに提供されている複数の人気アプリに、利用者の通信回線を外部と共有するプログラムが含まれていたということです。この中には、サムスンが公式に推奨する「編集者のおすすめ」として画面に表示されていた人気ゲーム「パックマン」のアプリも含まれていました。
これらのアプリには、「住宅用プロキシ」と呼ばれる技術が使われています。アプリを開くと、テレビが外部からの通信の抜け道(出口ノード)となり、アプリを閉じた後もバックグラウンドで通信が続く仕組みになっています。
調査によりますと、多くのアプリはごくわずかなプログラム言語で構成されており、ゲームなどのコンテンツを外部のウェブサイトから読み込む設計になっていました。このため、アプリの審査段階では外部から読み込まれるプログラムの実態を把握することが難しかったと指摘されています。
アメリカのIT専門メディアからの取材に対し、サムスンは声明を出し、「スマートテレビのプラットフォームにおいて、プロキシ機能を含む新規アプリの登録をすでに制限している」と説明しました。さらに、「開発者向けの規約を厳格化し、現在配信中のアプリについても調査と削除を進めている」としています。
同様の動きは他社でも広がっています。韓国のLG電子も先月、自社のアプリストアの約42%にプロキシ関連のソフトが含まれていたという報道を受け、該当するアプリを禁止する方針を示しています。
住宅用プロキシは本来違法ではなく、AI(人工知能)の学習用データの収集などに利用されています。しかし、ハッカーが身元を隠してサイバー攻撃やデータ窃取を行うために悪用されるケースが増加しているということです。一般家庭からの通信に見えるうえ、通信内容が暗号化されているため、セキュリティー企業による検知が難しいという課題があります。
今回の調査では、イスラエルの企業「ブライト・データ」が提供するプログラムが使用されていたことが確認されました。専門家は、利用者が同意画面で許可をすると機能が有効化されるものの、「サーバー側のわずかな変更で、数億台のスマートテレビが悪意のあるネットワークに組み込まれる危険性がある」と警告しています。なお、ブライト・データ社はこの件に関するコメントの要請に応じていないということです。
