クラウド通信大手「トゥイリオ(Twilio)」の共同創業者であるジェフ・ローソン氏が、新たに設立した核融合エネルギー企業「イナーシャ(Inertia)」のCEOとして、2026年に開催される技術カンファレンスに登壇し、今後の事業戦略について説明することが明らかになりました。
ローソン氏はこれまで、売上高が40億ドル(約6200億円)を超え、世界で30万の顧客を持つトゥイリオの成長を牽引してきました。同社を上場企業へと育て上げた後の新たな挑戦として、ソフトウェアの領域を超え、核融合エネルギーを送電網に供給することを目指すとしています。
イナーシャは今年2月、ベッセマー・ベンチャー・パートナーズが主導し、GVなどが参加するシリーズAの資金調達で4億5000万ドル(約698億円)を確保したと発表しました。この資金は、強力なレーザーシステムの開発や、核融合燃料ターゲットの大量生産技術の確立に充てられる方針です。これにより、研究室レベルの科学技術を、実用規模のエネルギー供給へと転換させる計画だということです。
事業の本格化に向けた動きも進んでいます。同社は今年7月、カリフォルニア州リバモアに約4600平方メートルの本社施設を開設しました。この施設には、燃料ターゲットの製造プロセスやレーザー技術を開発するための設備が整えられています。さらに、製造およびサプライチェーンの構築を強化するため、アップル(Apple)やコーニング(Corning)、ウェイモ(Waymo)などの企業から幹部クラスの人材を採用したとしています。
ローソン氏は、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の初期の製品開発を主導したほか、チケット売買サイト「スタブハブ(StubHub)」の初代CTOを務めるなど、多様な市場で製品や組織を構築してきた経験を持っています。2026年10月13日から15日にかけてサンフランシスコで開催される「TechCrunch Disrupt 2026」では、こうしたソフトウェア業界での経験が、人材獲得や資金調達、複雑なエンジニアリングの課題解決にどのように生かされるかについて議論が行われる予定です。
ソフトウェア開発で成功を収めた手法が、多額の資本を必要とするディープテック企業にそのまま適用できるわけではないとしつつも、専門知識を持つチームの構築や、野心的な目標に向けた現実的なマイルストーンの達成方法について、新たな視点が示されるものとみられています。
