イギリス政府は、ジャガー・ランドローバー(JLR)に対して、サイバー攻撃による生産ラインの停止を受けて、約3100億円(20億ドル)の商業銀行融資を保証すると発表しました。
政府は日曜日の声明で、この融資保証がJLRの現金準備を強化し、供給網を支援する方針であるとしています。JLRはこの融資を5年以内に返済する予定です。
JLRに部品や製品を供給するイギリス国内の企業、特に中小企業が、生産停止の影響を受けています。政府によれば、JLRの運営に依存している供給網全体で約12万人が働いているということです。
BBCニュースは、サイバー攻撃後に企業がイギリス政府から財政支援を受けるのは初めてであると報じています。
JLRは、8月31日にシステム内でハッカーを検知した後、ネットワークを停止しました。イギリスの小売業界を標的にした過去の攻撃に関連する犯罪グループが、この攻撃を行ったとされています。JLRはその後、ハッカーが一部の企業データを盗んだと発表し、従業員にはネットワークの再構築が行われるまで自宅待機を指示しました。
この停止により、JLRは約5000万ポンド(約820億円)の損失を被ったとされていますが、2024年には税引前利益が約2.5ビリオンポンド(約4100億円)であったため、財政的な影響を乗り越えられると見られています。
業界誌『The Insurer』によれば、JLRはサイバーセキュリティ保険に加入しておらず、これが一部の回復コストをカバーする可能性があったと報じています。
しかし、一部のセキュリティ専門家は、この融資が、サイバーセキュリティへの投資を怠った企業を政府が救済するというシグナルを送り、ハッカーを誘発する可能性があると指摘しています。
インドに本社を置くタタ・モーターズ傘下のJLRは、サイバー攻撃の数年前にタタのIT・技術支援部門であるタタ・コンサルティング・サービス(TCS)にサイバーセキュリティチームをアウトソーシングした決定についても批判を受けています。
TCSは、世界中の企業に対して従業員のパスワードリセットなどのITヘルプデスクサービスを提供しており、最近同じハッキンググループによって攻撃を受けたイギリスの小売大手、Marks & SpencerとCo-opの侵入点であるとも考えられています。
月曜日の声明で、JLRは「近日中に」自動車生産を再開する計画であると発表しましたが、復旧の期限を何度も逃しています。
