アメリカ連邦航空局(FAA)は、アメリカの宇宙開発企業スペースXに対し、大型宇宙船「スターシップ」の試験機の飛行再開を承認したと発表しました。今年5月の飛行試験で発生したロケットのブースター部分の不具合について、原因が特定されたことを受けた措置だということです。
スペースXによりますと、次回の飛行試験は早ければ7月16日(木曜日)に行われる可能性があるとしています。スターシップの第3世代モデル(V3)としては2回目の打ち上げとなります。また、今回の飛行では、初めて第3世代の通信衛星「スターリンク」を宇宙空間へ運ぶ方針です。これまでは、より大型で高性能なインターネット衛星のダミーモデルのみを搭載していました。
今回はスターシップシステムとして2回目の試験飛行となります。また、スペースXが株式を公開して以来、初の試験飛行でもあります。同社はロケット開発において、打ち上げて失敗し、それを修正するという手法をとっており、しばしば爆発(イーロン・マスクCEOは「予定外の急速な分解」と呼称)を伴います。市場がこの開発姿勢をどう評価するかが試されることになります。スペースXは6月12日にナスダック市場に株式を上場し、世界で最も時価総額の高い企業のトップ10入りを果たしました。この上場による資金調達額は過去最高となる860億ドル(約13兆3300億円)に上ったということです。
5月22日に行われたV3モデルの最初の打ち上げ試験は、おおむね成功を収めました。全長およそ120メートルのロケットは、「スーパーヘビー」と呼ばれるブースターによって宇宙空間へと打ち上げられました。その後、上段部分が分離し、20基の衛星シミュレーターと、機体の外観を撮影するための改良型スターリンク衛星2基を放出しました。
新型の第3世代ブースターは、地球に帰還し、メキシコ湾で着水試験を行う予定でした。しかし、エンジンが正常に再点火せず、海面に落下する結果となりました。
スペースXとFAAによりますと、この問題はブースターが分離する瞬間に発生したということです。スペースXは声明で、機体のエンジン起動時におけるわずかな差異が原因で、ブースターが誤った方向へ90度回転してしまったと説明しています。同社は、ブースターが目的の方向へより確実に姿勢を変えられるよう、エンジンの起動手順を修正したとしています。さらに、再点火の信頼性を向上させるための改修も施したということです。
一方、FAAは声明の中で、スーパーヘビーの不具合の最も可能性の高い根本原因について言及しました。上昇中における推進システム部品への熱の影響と、エンジンの警報システムの誤設定が原因であるとしています。これに対しスペースXは、将来的に同様の不具合が発生する可能性を減らすため、エンジンの警報システムと飛行中断システムに変更を加えたとしています。
5月の試験では、V3モデルの上段部分が試験用の搭載物を正常に放出し、メキシコ湾への着水シミュレーションに成功しました。これは同社にとってこれまで達成が困難だった重要な節目となりました。しかし同時に、真空の宇宙空間で使用される3基の「ラプターエンジン」のうち1基を喪失する事態も起きていました。スペースXは、この問題の再発を防ぐため、ハードウェアおよび運用面で複数の改修を行ったとしています。
次回の試験飛行では、通信ネットワークの容量拡大と通信速度の向上を目的とした、第3世代のスターリンク衛星が初めて打ち上げられる方針です。今回の打ち上げでは、20基の新型衛星が放出される計画です。スペースXによりますと、これらの衛星は「大容量レーザー」を通じて大規模なスターリンクの衛星網と接続するよう設計されており、放出からおよそ20分後に大気圏で燃え尽きる予定だということです。また、そのうちの6基には、スターシップの外観を撮影するためのカメラが搭載されます。
スターシップとスターリンクの第3世代モデルは、スペースXの今後の事業戦略において極めて重要な役割を担っています。スターリンク事業は、同社が株式上場に向けて準備を進める中で、唯一利益を生み出していた部門でした。また、宇宙空間でのデータセンター構築や惑星間航行といった壮大な計画を実現するためには、スターシップが完全に再利用可能なロケットシステムとして確立されることが不可欠となっています。
