サイバーセキュリティーおよびコンプライアンス(法令順守)関連のスタートアップ企業であるアメリカの「Comp AI」は、シリーズAラウンドで3400万ドル(約52億7000万円)の資金調達を実施したと発表しました。
今回の資金調達は、投資会社のRoo CapitalとGrand Venturesが主導しました。
同社は昨年1月、ルイス・カーハート最高経営責任者(CEO)、クラウディオ・フエンテス最高執行責任者(COO)、およびその兄弟であるマリアノ・フエンテス最高技術責任者(CTO)によって設立されました。
3人は以前、ワークフローのプラットフォームを共同で開発していました。このサービスは100万人以上のユーザーを獲得したものの、継続的な投資に見合う用途が見つからず、事業を終了したということです。しかし、この経験を通じて、大規模言語モデル(LLM)を活用した開発手法や、特定の用途を見つける重要性を学んだとしています。また、事業を拡大する中で、「SOC 2」と呼ばれるセキュリティー保証報告書の取得手続きが非常に煩雑であることも痛感したということです。
クラウディオCOOは、「手続きは非常に不透明で、手作業で数か月かかり、その間は製品開発に集中できませんでした」と振り返っています。この課題を解決するため、カーハートCEOの発案により、新たなスタートアップとしてComp AIが立ち上げられました。
Comp AIは、AIエージェントを活用して、煩雑なセキュリティーおよびコンプライアンス業務を処理するプラットフォームを開発しています。AIが社内のセキュリティーポリシーの草案を作成したり、監査のための証拠を収集したりするほか、企業がコンプライアンス基準を満たしているかを継続的に監視するということです。
カーハートCEOは、「多くのソフトウェア企業にとって、セキュリティーとコンプライアンスは収益に直結します。Comp AIは、これまで企業が手作業で行ってきた業務の多くを自動化します」と述べています。
一方で、このソフトウェアは第三者による独立した監査を代替するものではなく、人間の業務を完全に奪うものでもないとしています。AIが作成したポリシーの草案は人間が確認して承認するなど、AIの導入や管理には引き続き人間が関与する方針です。カーハートCEOは、「AIエージェントがより重要なタスクを担うようになるにつれて、安全対策や人間による承認のレベルも高めるべきだと考えています」と説明しています。
さらに、同社はAIを活用したペネトレーションテスト(侵入テスト)も提供しており、プラットフォームがシステムの脆弱性を自発的に検証するということです。これまでの資金調達総額は3750万ドル(約58億1000万円)に上り、今回調達した資金は製品の拡充に充てる方針です。
近年、AIエージェントの普及に伴い、新たなセキュリティーリスクが議論されています。企業が急速にAIを導入する中で、継続的かつ自律的なセキュリティーおよびコンプライアンスのプラットフォームが求められているということです。
マリアノCTOは、企業がAIの導入を進める上で、AIエージェントが何にアクセスし、何をしようとしたのか、定められた制限の範囲内で動作したのかを証明する必要があると指摘しています。その上で、「AIシステムが進化する中で、こうしたリスクを継続的に監視し、検証できるセキュリティー層の構築を目指しています」としています。
