アメリカの電気自動車大手テスラは、事故や火災の際に手動でドアを開ける「緊急解除装置」の場所が分かりにくく、乗員が車内に閉じ込められるおそれがあるとして、中国で約300万台をリコール(回収・無償修理)すると発表しました。
ロイター通信が金曜日に報じたところによりますと、中国ではこの問題に関連して自動車メーカー11社がリコールを実施しているということです。テスラを含む9社は、乗員が緊急解除装置を見つけやすくするための警告ラベルを車内に設置する方針です。また、スマートフォン大手のシャオミ(小米)や小鵬汽車(Xpeng)、吉利汽車(Geely)傘下の「Zeekr」や「Lynk & Co」などのブランドも電気自動車(EV)のリコールを行っています。対象となる11社すべてが、今回のリコールの一環としてソフトウェアの更新も実施するとしています。
近年、テスラなどの自動車メーカーが電子式ドアロックを標準採用するようになったことで、手動式のドア解除装置が安全上の課題となっています。
電子式ロックは、スマートフォンやICカードを使って簡単にドアを開閉できる利点がある一方で、衝突事故などで電源が喪失した際に機能しなくなるおそれがあるということです。通常、電子式ロックを採用するメーカーは緊急時用の手動ハンドルも設置していますが、想定外の場所やドアパネルの裏側などに隠されているケースが多く見受けられます。
こうした事態を受け、中国政府は2年間の調査を経て、今年2月に「2027年以降、電子制御式の隠し外装ドアハンドルの採用を禁止する」との方針を打ち出しています。
一方、アメリカでも昨年後半、ブルームバーグ通信の報道をきっかけに、アメリカの交通安全当局がテスラのドアロックシステムに関する調査を開始しました。当局は、同システムの安全基準を変更する新たな規制の策定も検討しているということです。さらに、ある議員は、手動解除装置について「直感的に操作でき、乗員が容易にアクセスできること」を義務付ける法案を提出しています。
見つけにくい手動解除装置を電子ロックのバックアップとして採用しているのは、テスラだけではありません。新興EVメーカーのリヴィアンでも昨年、パネルを外してコードを引っ張る必要がある「R1」モデルの手動解除装置について、顧客や従業員から懸念の声が上がっていました。これを受け、同社は今年発売したより安価な新型モデル「R2」では、解除装置をよりアクセスしやすい場所に変更する方針を示しています。
また、アメリカの自動車大手フォードも2025年に入り、「マスタング マッハE」の販売を一時停止し、電源喪失時に電子式ドアロックが誤作動するリスクを軽減するためのリコールを実施しました。
車体と平らになる外装ドアハンドルや電子式ロックの普及を牽引してきたテスラは、今後のモデルに向けてドアハンドルの設計を見直す方針を明らかにしています。
