ドイツの自動車大手フォルクスワーゲンは、極めて高いエネルギー効率を実現した電気自動車(EV)の新たな試作車を開発したと発表しました。空気抵抗の低減や車体の軽量化を徹底し、次世代EVの技術開発をリードする方針です。
発表された試作車「ミッション・エフィシエンシー」は、ガソリン車換算で世界最高クラスのエネルギー効率を誇るということです。
同社は実際にこの試作車を用いて、ドイツ北部のウォルフスブルクからオーストリアのウィーンまで1278キロメートルの道のりを走行する試験を実施しました。その結果、途中の充電は1回のみで、到着時にも168キロメートル分のバッテリー残量があったとしています。
試作車には、同社のEV「ID.ポロ」のモーターとバッテリーが搭載されており、量産車に近い水準に達しているということです。搭載された54.9キロワット時のバッテリーで640キロメートル以上の航続距離を実現できる計算となり、現在市販されている中で最も高効率とされるEVと比較しても、およそ2倍の効率になるとしています。
高い効率を実現するため、車体設計には空気抵抗を減らす工夫が施されています。屋根の形状は「カムバック」と呼ばれる後方に向けて急激に下がるデザインを採用し、空気抵抗係数を大幅に低減させました。その一方で、後部座席は身長1.6メートル以下の乗員を想定した設計となっており、居住性よりも効率を優先した形となっています。
また、タイヤ周辺の隙間を狭めることで空気抵抗を抑えたほか、屋根とトランクには太陽電池パネルを搭載し、一定の速度で走行するなどの条件がそろえば航続距離を最大30キロメートル延ばすことができるということです。一方で、サイドミラーについては、運転時の距離感を正確に保つため、カメラではなく従来の鏡を採用しています。
車内設備も軽量化が徹底されています。新興EVメーカーの「スレート・オート」のアイデアを参考に、備え付けのカーナビゲーションやスピーカーを廃止しました。代わりに、運転手が自身のスマートフォンなどを持ち込み、ポータブルスピーカーを使用する仕組みを採用したということです。
フォルクスワーゲンは、今回の試作車の市販化については明言していません。ただ、同社は2013年にも高効率を追求した限定車を11万ユーロ(約1815万円)で販売した実績があり、今後の技術開発や製品展開の動向が注目されます。
