アメリカの自動車大手フォード・モーターは、およそ20億ドル(約3100億円)を投じて進めているケンタッキー州の工場の改修作業が順調に進んでおり、2027年から新型のEV=電気自動車トラック「ファゾム」の生産を開始すると発表しました。
フォードは2年前、新たな世代の低価格EVを生産するため、ケンタッキー州にあるルイビル組み立て工場を閉鎖しました。そして、1世紀以上にわたって採用してきた従来の組み立てライン方式を廃止し、大規模な改修を進めてきました。
会社が明らかにした最新の状況によりますと、工場の改修は計画通りに進んでいるということです。2027年には、新しい共通プラットフォームを採用した初のEVとなる中型トラック「ファゾム」の生産体制が整うとしています。この車両の価格は3万ドル(約465万円)を下回る見込みです。
フォードは、2027年の第1四半期に「ファゾム」の試作車の組み立てを始め、同年後半には顧客向けの量産車の出荷を開始する方針です。現在、試作に先立って量産レベルの設備のテストをすでに開始しているということです。
フォードにとって、今回のプロジェクトは今後の経営を左右する大きな意味を持ちます。同社のこれまでのEV事業は収益の足を引っ張る要因となっていました。一方で、中国の競合メーカーやテスラは、販売台数と利益率の両面で先行しています。
こうしたライバルに追いつくため、フォードは創業者のヘンリー・フォードが導入した「動く組み立てライン」方式を廃止しました。代わりに、テスラ出身のアラン・クラーク氏が率いる特別開発チームが考案した新たな生産方式を導入するとしています。
会社が「ユニバーサル生産システム」と呼ぶこの方式では、組み立て工程が3つの部門に分かれています。テスラが普及させた手法を取り入れ、部品点数を大幅に減らせる大型のアルミ一体鋳造技術を採用します。これにより、車両の前部と後部をそれぞれ別のラインで組み立てることが可能になります。3つ目のラインでは、車体の構造を兼ねるバッテリーに座席や内装などを組み付けます。最終的にこれら3つの部品を結合させて、1台の車両を完成させるということです。
また、工場の改修の一環として、施設内のWi-Fi通信網を従来の約3倍となる1080カ所のアクセスポイントに増強しました。これは、ソフトウェアの品質検査に不可欠な高速かつ遅延の少ない通信環境を確保するためだとしています。
新しい生産方式により、「ファゾム」の組み立てにかかる時間は、以前同工場で生産されていた車両と比べて実質的に15%短縮される見込みです。
ミシガン州にある開発センターでは、一部の従業員がすでに数か月にわたって新システムに関する研修を受けているということです。
