アメリカのシリコンバレーを拠点とするベンチャーキャピタル「ライトスピード」は、インド市場におけるAI(人工知能)戦略を強化するため、初期段階のAI新興企業を対象とした2億5000万ドル(約388億円)規模の新たなファンドを設立すると発表しました。同社は、世界最大級の市場であるインドにおいて、AI技術が次世代のビジネスを牽引すると見込んでいます。
同社はすでに、「アンソロピック」や「xAI」などの主要なAI企業に投資しています。インド国内では、インド政府が支援する独自のAIモデル開発プロジェクトに選ばれた有力企業「サルヴァムAI」などを支援しています。
投資家向けの文書によりますと、新たなファンド「ライトスピード・インディア・パートナーズV」の規模は、2022年に設立された前回のファンドの5億ドル(約775億円)の半額となります。すでに目標額である2億5000万ドル(約388億円)の8割について、資金調達のめどが立っているということです。なお、現地メディアは以前、同社が3億ドル(約465億円)から3億5000万ドル(約543億円)の調達を目指していると報じていました。
新ファンドからの投資は今後2か月以内に開始され、およそ2年半の期間で運用される計画です。また、今回からインド向けのファンドの資金調達サイクルを、グローバルファンドと初めて同期させる方針です。およそ20年前に設立された地域事業を、グローバル全体の戦略とさらに一致させるねらいがあるとしています。
競合する投資会社「アクセル」も今年8月、5億5000万ドル(約853億円)規模のインド向けファンドを、アメリカやヨーロッパ向けファンドなどと同時に立ち上げており、総額35億ドル(約5425億円)の資金調達を行っています。
ライトスピードは、ファンドの規模を縮小することで、個別の投資案件に集中しやすくなるとしています。今回のファンドを通じて、インドおよび東南アジアのAI企業を積極的に発掘する方針です。
インドはアメリカや中国に比べてAI分野への投資額が少ないものの、豊富なソフトウェア開発者を抱えています。このため投資家らは、ソフトウェアや技術サービスの拠点としての長年の実績を生かせる、AIの応用分野に大きなビジネスチャンスがあるとみています。
ライトスピードは世界全体で650億ドル(約10兆750億円)以上の資産を運用しており、昨年12月には複数の新ファンドを通じて過去最大となる総額90億ドル(約1兆3950億円)を調達しました。このうち、初期段階のベンチャー向けファンドには9億8000万ドル(約1519億円)が割り当てられています。
これまで同社は、インドおよび東南アジア向けの専用ファンドから約9億ドル(約1395億円)を投資したほか、グローバルファンドからも同地域の企業に16億ドル(約2480億円)を投じてきました。これまで電子商取引やソフトウェアなど幅広い分野に投資してきましたが、今回の新ファンドではAI分野に特化する方針を明確にしています。なお、新ファンドの運用は、過去4回のインド向けファンドを主導したチームが引き続き担当するということです。
