電動キックボードなどのシェアリング事業を展開するアメリカの「ライム(Lime)」は、アメリカのナスダック市場に株式を上場し、新規株式公開(IPO)で1億6700万ドル(約259億円)の資金を調達したと発表しました。
同社は、配車サービス大手「ウーバー(Uber)」の支援を受けており、公開価格を想定価格の24ドルから26ドル(約3720円から4030円)の中間となる1株25ドル(約3875円)に設定し、668万株を売り出しました。水曜日の午後にティッカーシンボル「LIME」で取引が開始され、最初の1時間で株価は約9%上昇したということです。
今回のIPOにより、ライムの企業評価額は約16億6000万ドル(約2573億円)となりました。ウェイン・ティンCEO(最高経営責任者)はインタビューに対し、「厳しい時期を乗り越えるための忍耐と楽観主義が報われました。上場企業になれたことは非常に感慨深い」と述べています。
ライムは長年、上場を検討してきました。2021年に5億2300万ドル(約811億円)の資金調達を行った際にも上場への意欲を示していましたが、市場環境を見極めていたということです。ティンCEOは、「自立可能で収益性があり、フリーキャッシュフローがプラスであることを市場に示す必要がありました。過去3年間でそれを達成できたため、今が適切な時期だと判断しました」としています。
一方で、同社は資金確保を急ぐ必要がありました。5月に提出されたIPO申請書では、事業継続に「重大な疑義」があると記載されていました。ライムは、年内に期限を迎える分を含め、約10億ドル(約1550億円)の負債を抱えており、今回の調達資金をその返済に充てる方針です。
マイクロモビリティ業界は近年、厳しい経営環境に直面しています。競合他社が破産申請や上場廃止、事業撤退に追い込まれる中、ライムは売上高を伸ばしてきました。売上高は2023年の5億2100万ドル(約808億円)から、2024年には6億8660万ドル(約1064億円)、直近では8億8670万ドル(約1374億円)へと増加したということです。また、純損失も2023年の1億2230万ドル(約190億円)から2024年には3390万ドル(約53億円)に縮小しましたが、2025年には5930万ドル(約92億円)に再び増加しています。なお、2025年の減価償却費などを除いた調整後粗利益は4億ドル(約620億円)を超えたとしています。
この成長は、世界的な事業拡大によるものです。現在、同社は29か国、230の都市で事業を展開しています。また、ウーバーが同社の株式の24%を保有しており、昨年の売上高の14%以上をウーバー経由の利用が占めているということです。
今後の事業戦略について、ティンCEOは、ソフトウェアと機械学習を活用して都市ごとの運営を効率化し、コスト削減を進める方針を示しました。調達した資金は、事業の成長や技術開発への再投資に充てるとしています。
さらに、「上場企業として財務情報を公開することで、各都市の規制当局にとって信頼できる長期的なパートナーになることができます」と述べ、自治体との提携をさらに強化していく考えを示しました。
