アメリカの電気自動車メーカー「リヴィアン」は、トランプ前政権下で課された関税は違法だとして、アメリカ政府などに対し、支払った関税の全額返還を求める訴えを起こしたと発表しました。
リヴィアンは、トランプ前政権が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づいて課した関税について、連邦最高裁判所が後に違憲と判断したことを受け、返還を求める多くの企業に加わる形となりました。同社のクレア・マクドノー最高財務責任者(CFO)は今年4月、数千万ドル(数十億円)規模の返還が見込まれるとの見解を示していました。
リヴィアンは現在、初の量産型SUV「R2」の市場投入を進めています。今年末までに2万台から2万5000台を出荷し、黒字化を目指す方針です。一方、自動運転技術の開発に多額の投資を行っているため、黒字化の達成は2028年になる見通しだということです。この間の手元資金を確保するため、同社は最近、株式売却により13億ドル(約2015億円)を調達しています。
今回の訴訟は、アメリカ国際貿易裁判所に起こされました。アメリカ政府のほか、トランプ政権に代わって関税を徴収した税関・国境警備局(CBP)などが被告に指定されています。
CBPはメディアの取材に対し、「これまでに1210億ドル(約18兆7550億円)以上の返還請求を受理し、手続きを進めている」とコメントしましたが、個別の訴訟については言及を避けました。また、アメリカのシンクタンク「ケイトー研究所」によれば、これまでに支払われた返還額は710億ドル(約11兆50億円)にとどまっており、返還手続きの複雑さが輸入業者にとって障壁になっていると指摘されています。
リヴィアンの代理人は訴状の中で、「最高裁が関税を無効としたものの、それだけで過去に支払った関税の返還が保証されるわけではないため、今回の提訴が必要になった」と説明しています。
リヴィアンのRJ・スカリンジ最高経営責任者(CEO)は昨年、関税の影響により車両1台あたりのコストが数千ドル(数十万円)上昇したと述べていました。その後、2025年末までには、その影響を数百ドル(数万円)程度にまで軽減できるとしています。
同社は今年の報告書で、「報復関税や貿易制限が続く環境は、必要な原材料や部品の調達に悪影響を及ぼし、顧客が求める価格での製品提供を困難にするおそれがある」と懸念を示していました。
リヴィアンは裁判所に対し、関税が違法であるとの宣言に加え、利子を含めた返還と訴訟費用の支払いを求めていく方針です。
