AI(人工知能)関連の技術開発を手がけるアメリカの新興企業「ランレイヤー(Runlayer)」は、人事管理ソフトウェアを提供する「リップリング(Rippling)」に対し、自社の製品アイデアを盗用されたとして訴訟を起こしたと発表しました。
訴状などによりますと、ランレイヤーはAIが外部のデータやツールに安全にアクセスするための規格である「MCP」に関連する技術を提供しています。リップリングは顧客候補として、およそ1年間にわたりランレイヤーの製品の試験運用を行っていました。
この試験運用の際、両社は秘密保持契約を結び、知的財産の複製を禁じる条項にも合意していました。ランレイヤー側は、製品の開発計画からソースコードに至るまで詳細な情報を提供したとしています。しかし、最終的に価格面で合意に至らず、試験運用は終了しました。
その後、リップリングの内部関係者からランレイヤーの経営トップに対し、「ランレイヤーの製品とほぼ同じものを社内で開発するプロジェクトが進んでいる」という連絡があったということです。
これを受け、ランレイヤーは、リップリングが自社の知的財産を不正に利用して製品を開発したとして、営業秘密の侵害や契約違反などを理由に提訴に踏み切りました。
一方、リップリングの担当者は、独自のMCP関連製品を開発していることは認めたものの、知的財産の不正利用については否定しています。「ランレイヤーの主張は競争を避けるためのものであり、当社は独自の技術情報のみを用いて優れた製品を市場に投入する方針です」とコメントしています。
MCPは、アメリカのAI企業アンソロピックが2024年11月に無償で公開した技術規格で、現在ではAIの相互運用性を支える重要な基盤となっています。ランレイヤーは昨年、関連製品を発表して以降、これまでに総額4200万ドル(約65億円)の資金を調達しています。また、今回の訴訟にあたっては大手法律事務所を代理人に立てており、法的な争いに向けた姿勢を鮮明にしています。
AIのインフラ技術をめぐっては、技術力を持つ企業が外部の製品を導入せず、自社で開発に乗り出すケースが増加しています。今回の訴訟は、企業向けに複雑なAIシステムを販売する際の難しさや、業界における競争の激化を浮き彫りにしていると指摘されています。
