アメリカのサイバーセキュリティ企業「ハントレス(Huntress)」は、偽の暗号資産(仮想通貨)関連の会議を装い、サイバーセキュリティの専門家を標的にしたサイバー攻撃が確認されたと発表しました。
同社によりますと、今月開催されたサイバーセキュリティ関連の大規模な国際会議「ブラックハット(Black Hat)」や「デフコン(Def Con)」の時期に合わせて、攻撃が行われたということです。暗号資産の主要ニュースサイトの従業員を装った人物が、旧ツイッターの「X」を通じて専門家に接触し、マルウェア(悪意のあるソフトウエア)をインストールさせようとしたとしています。
ハントレス社は、この攻撃手法の詳細をまとめたブログ記事を公開しました。同社の研究員が標的となった際、攻撃者の目的を調査するために、だまされたふりをしてやり取りを続けたということです。
公開されたやり取りの記録によりますと、攻撃者は不自然な英語を使用し、研究員に対して今後の会議への参加予定を尋ねたうえで、暗号資産ニュースサイトが主催するという架空の会議について言及したということです。
その後、攻撃者は正規の「Googleドキュメント」のファイルを共有しました。このファイルは架空の会議の企画書を装っており、画面の横にはファイルが暗号化されているように見せかける表示がありました。攻撃者は、偽の復号キーを入力させることで、標的のパソコンにマルウェアをインストールさせようとしたということです。
この手口では、Googleドキュメントの表示をカスタマイズできる正規の機能「Google Apps Script」が悪用され、本物のように見せかけていたとしています。
実際にインストールさせようとしたマルウェアには、アップル製のパソコンから情報を盗み出すプログラムや、Windows向けの遠隔操作ツールを悪用したもの、さらに暗号資産ウォレット「Ledger」の偽のインストールプログラムが含まれていたということです。
IT系メディア「テッククランチ(TechCrunch)」が、Xを通じてこの攻撃者のアカウントに質問を送りましたが、返答はなかったということです。また、Googleに対しても同様の攻撃を把握しているか問い合わせていますが、現時点で回答は得られていないとしています。
サイバーセキュリティの専門家が国家支援のハッカー集団などの標的になる事例は過去にも確認されていますが、今回はGoogleの正規の機能を悪用することで、手口がより巧妙化しているということです。
