アメリカのカリフォルニア州に拠点を置き、自動車のサブスクリプション(定額利用)サービスを手がける新興企業「オートノミー(Autonomy)」は、これまでの電気自動車(EV)に特化した事業方針を転換し、新たにガソリン車をサービスに導入したと発表しました。
同社は4年前、テスラを含む自動車メーカー17社から2万3000台のEVを調達し、サブスクリプション方式で提供する計画を掲げていました。しかし、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が主導したEVの値下げ競争などの影響で、同社が保有する車両の資産価値は約3分の1に下落しました。保有台数も1000台をわずかに超える規模にとどまり、経営危機に直面したということです。
こうした中、同社は事業の存続に向けて方針を転換しました。消費者に馴染みのあるガソリン車をラインナップに加えることで、新たな顧客層の開拓を目指すとしています。
フレッド・ワイクCEOは、メディアの取材に対し「ビジネスで成功するには、顧客が求めているものを提供しなければならない」と述べています。
新たに導入されるのは、フォードの「マスタング」や「F-150」などのガソリン車のほか、「ブロンコ・スポーツ」などのSUV(多目的スポーツ車)です。カリフォルニア州の販売店から車両を調達し、まずは同州の顧客向けに提供を始めます。今後はニューヨーク州やテキサス州など、現在事業を展開している他の地域でも、提携先を拡大していく方針です。
現在、アメリカでは新車価格が5万ドル(約775万円)を超える水準に高騰しており、中古車価格も上昇を続けています。
ワイクCEOは、価格高騰によってローンを組むことが難しい人々にとって、自動車の所有が困難になっていると指摘しています。同社のサービスでは、初期費用として1000ドル(約15万5000円)を支払った後、車種に応じた月額料金を支払う仕組みとなっています。利用開始から1か月が経過すれば、いつでも解約できるということです。
同社は今回のガソリン車導入にあたり、大学生や軍人の家族、外国人労働者のほか、社用車のような手軽な利用を求める層を主なターゲットに据えています。ワイクCEOは「従来の自動車購入に伴う煩わしさを省き、簡単かつ迅速に移動手段を確保したいという需要に応える」としています。
一方で、カリフォルニア州を中心にEVへの需要も依然として存在しているということです。同社は現在、500台余りのEVを保有し、サービスの提供を続けています。
EVへの移行をめぐっては、大手レンタカー会社のハーツも2021年にテスラ車を最大10万台導入する計画を発表しましたが、2024年にはその大半を売却し、ガソリン車に切り替えるなど、業界全体で戦略の見直しが進んでいます。
