アメリカのIT大手アマゾン傘下の自動運転開発企業「Zoox(ズークス)」は、アメリカの交通当局から安全基準の適用免除を受け、ロボタクシーの有料サービスを開始すると発表しました。また、配車サービス大手のウーバーが自動運転分野に約1兆5500億円を投資する方針を示すなど、モビリティ分野におけるAIや自動運転技術の商用化に向けた動きが加速しています。
Zooxは8月10日からロボタクシーの有料運行を開始する方針です。同社はこれまで、ハンドルやペダルなどの従来型の制御装置を持たない車両を試験運行していましたが、今回、アメリカ運輸省道路交通安全局(NHTSA)から安全基準の適用免除を受けました。これにより、最大2500台の車両を2年間にわたって商用運行することが可能になるということです。この決定は、テスラが開発を進める2人乗りの「サイバーキャブ」など、人間の運転手を前提としない車両を開発する他の企業にとっても、商用化への道を開くものとして注目されています。
一方、配車サービス大手のウーバーは、自動運転車の展開に向けて大規模な投資を行う方針です。ダラ・コスロシャヒ最高経営責任者(CEO)は決算発表の電話会見で、今後数年間で100億ドル(約1兆5500億円)を投じ、12万台の自動運転車を導入する計画を明らかにしました。
モビリティ関連企業の資金調達も相次いでいます。アフリカ発のフィンテック企業として創業した「Moove」は、自動運転車の車両管理事業を拡大するため、2億5000万ドル(約388億円)の資金を調達したと発表しました。企業評価額は21億ドル(約3255億円)に達したとしています。同社は現在、ドバイに拠点を置き、ウェイモのロボタクシーを導入する計画を進めているということです。
その他の主な資金調達や企業動向は以下の通りです。 ・オランダの自転車メーカー「Accell Group」が支払い停止の適用を受け、破産手続きを開始しました。同社は2022年に15億6000万ユーロ(約2574億円)で買収されていました。 ・イギリスのモーター製造企業「Advanced Electric Machines Group」が2150万ドル(約33億円)を調達しました。 ・フランスの商用EV充電企業「Chargepoly」が2300万ユーロ(約38億円)を調達しました。 ・防衛技術企業の「Hadrian」が13億7000万ドル(約2124億円)を調達し、評価額は約1兆2199億円となりました。 ・インドのモーター開発企業「Matel Motion & Energy Solutions」が1360万ドル(約21億円)を調達しました。 ・インドのEVスタートアップ「River」が1億2000万ドル(約186億円)を調達しました。
各社の事業戦略や新製品の動向も明らかになっています。自動車大手のフォードは、2027年に発売予定の新型中型EV「Fathom」の価格を2万8350ドル(約439万円)に設定すると発表しました。
電動垂直離着陸機(eVTOL)を開発する「Joby Aviation」は、純損失が2億4500万ドル(約380億円)に縮小したと発表しました。また、ウーバーの元CEOであるトラビス・カラニック氏が率いるAI・産業自動化スタートアップ「Atoms」と提携し、エアタクシーや自動運転車向けの交通拠点を開発する方針を明らかにしました。
EVメーカーの「Lucid Motors」は、14億ドル(約2170億円)のコスト削減計画を発表しました。また、中型EV「Cosmos」の発売を2027年後半に延期するとしています。
半導体大手のNVIDIAは、自動運転向けのAIモデル「Alpamayo 2 Super」を商用リリースしたと発表しました。開発者や自動車メーカーが自社のデータに合わせてモデルを調整できるということです。
自動運転をめぐる規制や訴訟の動きもみられます。カリフォルニア州では、労働組合のチームスターズが州の車両管理局(DMV)を提訴しました。自動運転の大型トラックが公道を走行することによる経済的影響の調査が不十分であると主張しています。これに対し、自動運転業界の団体は「根拠のない訴訟だ」とする声明を出しました。
イーロン・マスク氏に関連する企業の動向も注目を集めています。テスラの決算発表における同氏の発言を分析した調査によると、現在は発言の半分近くをAIやロボタクシー、完全自動運転ソフトウェアに関する話題に費やしているということです。
また、スペースXは公開企業として初となる決算を発表し、衛星インターネットサービス「スターリンク」の成長などにより、収益が前年比で倍増したとしています。さらに、テスラとスペースXは、テキサス州に先進的な半導体工場「Terafab」を共同で建設し、初期投資として168億ドル(約2兆6040億円)を投じると発表しました。
その他の動向として、ニューヨーク・タイムズは、ウーバーの乗客から提起された4000件以上の性的暴行に関する訴訟に対する同社の防衛戦略について、調査報道を発表しました。
自動運転開発のウェイモは、テキサス州ダラスでのロボタクシーサービスの待機リストを廃止し、すべての住民や訪問者が利用できるようにしたと発表しました。
トラビス・カラニック氏が率いる「Atoms」は、17億ドル(約2635億円)の資金調達を実施したほか、元ウーバーの財務責任者であるゴータム・グプタ氏を最高財務責任者(CFO)として採用するなど、経営陣の強化を図っているということです。
