アメリカのAI開発大手「アンスロピック」のダリオ・アモデイCEOは、AIの技術情報を公開する「オープンウェイト」モデルの規制を支持していないとする一方、中国などの権威主義的な国家によるAI開発には強い懸念を抱いているとの見解を示しました。
アモデイCEOは、自社がアメリカ政府による中国製、あるいは一般的なオープンウェイトモデルの禁止を支持しているという業界内のうわさに対し、公式ブログで反論しました。「過去の発言からも明らかなように、そのような禁止措置が有用だとは考えていない」としたうえで、「アンスロピックがオープンウェイトモデルの禁止を主張したことは一度もない」と強調しています。
この発言は、アメリカの半導体大手「エヌビディア」のジェンスン・フアンCEOらが、オープンウェイトモデルに対する「時期尚早な規制」を導入しないよう政策立案者に求める公開書簡に賛同したことを受けたものです。この書簡には、メタやマイクロソフトなど多数のAI企業が名を連ねています。
業界内では、中国のAI開発機関がアメリカ企業の知的財産を盗用して技術力を高めているとの疑惑が議論の的となっています。その手法の一つとして、別のAIモデルに大量の指示を出して仕組みを学習させる「蒸留」と呼ばれる技術が指摘されています。
アモデイCEOは、危険な能力を持たないオープンウェイトモデルは「公共の利益」であり、企業や開発者に価値を提供するものだと評価しています。一方で、中国をはじめとする権威主義的な国家が、アメリカをしのぐ強力なAIを開発し、恒久的な軍事的優位性の確立や国民の弾圧に利用することに強い懸念を示しました。
さらに、AIがサイバー攻撃だけでなく、生物兵器による攻撃を可能にする危険性も指摘しています。イギリスのAI安全研究所の報告書を引用し、こうしたシナリオにおいては、一度公開されると回収が困難で、安全対策や利用状況の監視が難しいオープンウェイトモデルはより危険性が高いとしています。
中国への対抗策として、アモデイCEOは、高性能な半導体へのアクセス制限や、「蒸留」による技術盗用の取り締まり強化が必要だとしています。
また、AIの安全性を評価する国際的な枠組みの構築を支持する考えを明らかにしました。アモデイCEOは、トランプ次期政権や業界がこうした方向へ動いていることを歓迎しています。この枠組みを機能させるためには、中国を含む全世界の参加が不可欠だとしたうえで、「生物兵器へのAI悪用を防ぐための限定的な協力は、中国の利益にも合致するため実現可能だ」との見方を示しています。
