アメリカのAI開発大手OpenAIは、サイバーセキュリティ研究者向けに提供している特別プログラムについて、技術的な問題により一部のユーザーのアクセス権を誤って取り消したと発表しました。
複数のセキュリティ研究者が、公式サポートフォーラムやSNS上で、OpenAIの「サイバー向け信頼されたアクセス(TAC)」プログラムへのアクセス権が突然失われたと報告しました。ChatGPTのサイバー専用ページを開くと、本人確認ができない、または「現在このアカウントは対象外です」というメッセージが表示されたということです。
TACは、事前の身元確認を受けた研究者に対し、一般ユーザー向けの安全制限を緩和した最先端のAIモデルを提供する特別なプログラムです。競合するAI企業のアンスロピック(Anthropic)も、「サイバー検証プログラム(CVP)」と呼ばれる同様の枠組みを提供しています。
これらのプログラムは、信頼できるセキュリティ専門家に高度なAIモデルを提供し、システムのバグや脆弱性を早期に発見・修正することを目的としています。同時に、悪意のあるハッカーがAIを悪用して企業を攻撃するのを防ぐという、同社の重要なセキュリティ戦略の一環として位置づけられています。
OpenAIは一部の研究者に対し、「技術的な問題により、限定的な人数のユーザーに影響が出た」とメールで説明したということです。また、公式SNSを通じてもこの問題を認め、アクセス権を維持するためには再度、本人確認の手続きを行う必要があるとしています。
取材に応じた5人の研究者は全員、アメリカおよびヨーロッパ以外の地域に居住しているとしています。このため、今回のアクセス権の取り消しは特定の地域に限定して発生している可能性が指摘されています。
今回影響を受けたのは、8月10日に提供が開始された「デイブレイク・ブルー(Daybreak Blue)」と呼ばれる研究者向けの最新枠組みです。この枠組みでは、マルウェア分析や脆弱性の発見など、防衛的なセキュリティ業務に特化した安全基準のもと、「GPT-5.6 Sol」などの最先端モデルが利用可能となっています。
また、OpenAIは同時に、より高度なセキュリティテストや脆弱性研究を許可する「デイブレイク・レッド(Daybreak Red)」という上位枠組みも導入する方針です。
近年、サイバーセキュリティの専門家からは、AI企業が設けている厳しい安全制限が、正当な防衛目的の研究活動を妨げているという懸念の声が上がっていました。OpenAIは今回の問題について、意図したユーザー体験ではないとして、速やかな対応を進める方針です。
