アメリカで「空飛ぶクルマ」と呼ばれる電動航空機を開発するジョビー・アビエーション(Joby Aviation)は、防衛事業を強化するため、関連企業を5億ドル(約775億円)で買収する合意に達したと発表しました。
規制当局への提出書類によりますと、買収されるのはアメリカ中西部オハイオ州に拠点を置き、無線周波数やセンサーシステムを開発するレゾナント・サイエンシズ(Resonant Sciences)です。買収額は現金と株式を合わせて5億ドル(約775億円)に上るということです。
レゾナント社は今後、ジョビー傘下の防衛専門部門となります。同部門のトップにはレゾナント社の共同創業者であるJ・マイカ・ノースCEOが就任し、これまでジョビーが進めてきたタービン電動式や水素電動式の航空機、および自律飛行技術の開発プロジェクトを引き継ぐということです。
ジョビーは、防衛部門を独立させることで、主力事業である電動エアタクシーの型式証明の取得や製造、サービス開始に経営資源を集中させる方針です。
西海岸のカリフォルニア州に本社を置くジョビーは、短距離の旅客や貨物輸送を目的とした都市型電動エアタクシーの開発で広く知られています。一方で、ここ数年は防衛分野への参入も積極的に進めてきました。
昨年には、防衛装備品大手L3ハリス・テクノロジーズと提携し、防衛用途向けの自律飛行可能なガスタービン・ハイブリッド垂直離着陸機(VTOL)の開発に向けた検討を開始しています。
このハイブリッド機は、ジョビーの現行機「S4」のプラットフォームを基に開発されるとしています。ジョビーはこれまで完全電動のパワートレイン開発に注力してきましたが、2024年にはアメリカ政府との契約に基づき水素電動ハイブリッド機の試験飛行を実施し、バッテリー駆動の試作機の2倍以上となる521マイル(約838キロ)の飛行に成功しています。
今回の買収は、ジョビーにとって新たな収益源の確保という狙いもあります。レゾナント社は過去12か月間で1億ドル(約155億円)の収益を上げており、アメリカ政府の機密プログラムへのアクセスも有しています。また、同社の無線周波数やセンサー技術は、ジョビーの電動垂直離着陸機(eVTOL)開発との相乗効果も期待されています。
eVTOLの開発や量産には多額の資金と長い年月が必要となるため、投資家からは早期の収益化を求める声が上がっていました。2021年に特別買収目的会社(SPAC)との合併を通じて株式上場を果たしたジョビーは、企業買収を通じて短期的な収益源を確保することで、こうした市場の懸念を払拭したい考えです。
同社は昨年にも、ヘリコプターのライドシェア事業を手がけるブレード・エア・モビリティ(Blade Air Mobility)の事業を約1億2500万ドル(約194億円)で買収しています。これにより、ニューヨークの主要空港(JFK空港やニューアーク空港)やマンハッタン、ウォール街などにある12のターミナル網を獲得しました。
この買収は同社の収益に大きく貢献しています。今年第2四半期の売上高は3860万ドル(約60億円)でしたが、そのうち3620万ドル(約56億円)がブレード事業によるものだということです。
