アメリカのアパレルブランド「ボノボス」の創業者であるアンディ・ダン氏が立ち上げたスタートアップ企業は、運営する交流アプリ「Pie(パイ)」について、イベント告知を中心とした機能から、コミュニティー形成を重視するSNSへと方針を転換し、新たな機能を導入したと発表しました。
「Pie」は当初、アメリカ中西部のシカゴでイベント情報共有アプリとして開発されました。これまでに複数の有力投資会社や、旧ツイッターの共同創業者などから出資を受けており、約30万人の利用者を獲得しています。
同社は今週、新たな機能として「コミュニティー・ホーム」の提供を開始しました。これは、アプリ内にグループの拠点を常設できる機能です。利用者がグループチャットやフェイスブックのグループ機能などに代わる、新たな連絡手段として活用することを想定しているということです。
同社は今回の機能追加により、単なるイベントへの参加にとどまらず、利用者同士の継続的なコミュニティー形成を促す方針です。近年、若い世代の間では、長年のオンライン上での交流を経て、現実世界でのつながりを求める傾向が強まっています。同社はこうした需要を取り込み、デジタルツールを通じて現実世界での交流を生み出す戦略を描いています。
新機能の「コミュニティー・ホーム」では、グループごとの専用フィードや管理者向けの機能のほか、イベントの企画機能などが提供されます。管理者に限らず、誰でもイベント情報を共有できる仕組みを採用しており、より自然な交流を促すとしています。
さらに同社は今後、グループチャット機能や、具体的な計画がなくても気軽に交流を呼びかけられる機能などを追加する方針です。
同社はこれまでにも、イベントそのものより参加者に焦点を当てるための仕様変更を行ってきました。昨年12月には、どのようなイベントが開催されるかだけでなく、知人の誰が参加するかが分かりやすいようにフィード画面を改修しました。その結果、利用者のアプリ滞在時間が平均2分から10分へと大幅に増加したということです。また最近では、利用者が自身の興味や関心をプロフィールに追加できる機能も導入しています。
創業者のダン氏は、ニューヨークからシカゴへ移住した際、地域社会でのつながりや友人作りに苦労した経験が、アプリ開発のきっかけになったとしています。ダン氏はアメリカのIT専門メディアの取材に対し、「ランニングクラブやアート市場など、人々が再び集まる文化的な動きが起きています。こうした集まりのためのソフトウェアを開発することで、人々がより深いつながりを持てる環境を作りたい」と述べています。
また同社は、ニューヨークで人気のランニングクラブを設立したナディア・オカモト氏を、共同創業者兼最高マーケティング責任者(CMO)として迎え入れました。オカモト氏は「イベントを前面に押し出すのではなく、優れたコミュニティー形成の仕組みを構築した結果としてイベントが生まれるようなプラットフォームを目指す」としています。
「Pie」は現在、どこからでも利用可能ですが、特にシカゴやニューヨーク、ロサンゼルスなどの都市部で利用が拡大しているということです。
