アメリカのAI開発を手がける新興企業「Arcee」は、新たな推論AIモデル「Trinity Large Thinking」を開発し、提供を開始したと発表しました。欧米の企業に対し、中国製のAIモデルに依存しない選択肢を提供するねらいがあるとしています。
Arceeは従業員26人の小規模なスタートアップ企業です。同社は2000万ドル(約31億円)という限られた予算で、4000億パラメータを持つ大規模なオープンソースの言語モデルを構築しました。マーク・マクウェイドCEOは、今回発表されたモデルについて「中国以外の企業が公開したオープンウェイトモデルの中で、最も高い性能を持つ」と主張しています。
同社が掲げる主な目標は、アメリカやヨーロッパの企業に対し、中国製のAIモデルを使用する必要性をなくすことです。中国製のモデルは極めて高い性能を持つ一方で、欧米とは異なる価値観を持つ政府にデータや権限が渡るリスクがあると懸念されています。Arceeはこうした課題に対応し、欧米企業の技術的な自立を促す方針です。
提供されるモデルは、企業が自社のシステムにダウンロードし、独自のニーズに合わせて学習させたうえで、オンプレミス環境で利用できるということです。また、APIを通じてクラウド上で利用可能なバージョンも提供されています。
Arceeのモデルは、オープンAI(OpenAI)やアンスロピック(Anthropic)などの大手企業が提供する非公開モデルの性能には及ばないものの、大手企業の方針変更に振り回されないという利点があります。
例えば、アンスロピックは先週、オープンソースのAIツール「OpenClaw」の利用者に対し、既存の定額サービスでは同ツールの利用をカバーできず、追加料金が必要になると通知し、利用者に影響を与えました。これに対し、マクウェイドCEOは、ArceeのモデルがOpenClawと組み合わせて利用される主要なモデルの一つになっていると指摘しています。
性能面について、同社が公開したベンチマーク結果によれば、他の主要なオープンソースモデルと同等の水準に達しているということです。メタ(Meta)が開発した「Llama 4」などの主要モデルと直接競合する規模ではないものの、Arceeのモデルは完全なオープンソースの基準とされる「Apache 2.0」ライセンスの下で公開されており、利用制限の面で優位性があるとしています。
