アメリカのロサンゼルスで開かれたテクノロジー関連のイベントにおいて、AI(人工知能)分野を専門とする有力ベンチャーキャピタルの投資家らが、急速に変化する市場における今後の投資戦略を明らかにしたと発表しました。
対談には、運用資産額25億ドル(約3875億円)を誇る初期投資ファンド「M13」の共同創業者であるカーター・リウム氏と、運用資産額約10億ドル(約1550億円)のAI特化型ファンド「Basis Set Ventures」のパートナーであるチャン・シュー氏が登壇しました。両氏は、かつてないスピードで成長するAI市場における企業価値の評価方法や、巨大IT企業との競争を避けるための戦略について見解を示しています。
AIインフラ市場がバブル状態にあるかどうかについて、シュー氏は「これまでにない成長曲線を描いているため、バブルであると同時にバブルではない」と指摘しました。対話型AIの収益が半年で400億ドル(約6兆2000億円)に達したことや、投資先の企業が1年目で年間収益100万ドル(約1億5500万円)から1000万ドル(約15億5000万円)へ、2年目には7000万ドル(約108億5000万円)へと急成長した事例を挙げました。これにより、企業の成長を測る基準が根本的に変化しているということです。
一方、リウム氏は現在の市場環境について、過去の技術革新の波とは異なると分析しています。新興企業同士の競争にとどまらず、豊富な資金とデータを持つ巨大IT企業と直接競合することになるため、投資の難易度が上がっているということです。このため、M13では巨大企業の参入が遅れると見込まれる規制の厳しい産業を投資の対象とする方針です。具体的には、救急通報システムや医療分野などを挙げています。
シュー氏は、AI技術の進歩が極めて速いため、長期的に優位性を保てる分野を見極めることが重要だとしています。同ファンドでは、市場を「スピードが重視される市場」と「技術的な深さが求められる市場」に分類し、それぞれの特性に合わせた投資戦略を展開する方針です。また、AIを活用したソフトウェア企業が600億ドル(約9兆3000億円)規模の利益をもたらした事例を挙げ、市場の潜在的な規模が従来の予測を大きく上回っていると指摘しました。
さらに両氏は、今後のAI市場の展望についても言及しました。リウム氏は、技術革新の第2、第3の波において、現在では想像できない新しいビジネスモデルが生まれると予測しています。また、宇宙開発企業の新規株式公開(IPO)が実現した場合、巨額の資金がロサンゼルス地域に流入し、新たな起業の波をもたらす可能性が高いということです。
シュー氏も、今後のAI開発においては計算能力だけでなく、文化や感情に訴えかける要素が重要になるとしています。エンターテインメント産業が集積するロサンゼルスが、次の技術革新の中心地になる可能性が高いということです。
