アメリカの配車サービス大手「ウーバー(Uber)」の競合として知られる「インドライブ(inDrive)」は、主力事業である配車サービスに加え、広告や食料品配達などの新規事業をさらに拡大する体制を強化したと発表しました。新興国を中心とした利用者の基盤を生かし、収益源の多角化を進める方針です。
アメリカ・カリフォルニア州に本社を置き、世界48か国の1200以上の都市で事業を展開するインドライブは、運転手と利用者が運賃を交渉できる独自の配車サービスで知られています。同社は過去1年間、広告や食料品配達といった新規事業の追加に取り組んできました。今回、これらの事業が新興国市場で成長の兆しを見せていることから、新たな責任者を任命し、事業規模を拡大するとしています。
同社によりますと、2025年7月に試験導入された広告事業は、現在25の市場に拡大しています。月間の広告表示回数は20億回を超え、有料で広告を出稿する企業は月に2000社以上に上るということです。また、その約3分の2がリピーターとなっています。
インドライブの最高成長責任者(CGO)を務めるアンドリース・スミット氏は、新興国市場の利用者は他のプラットフォームではリーチしにくい層であり、ブランドと新たな顧客をつなぐ機会になると説明しています。現在、利用者が配車を待つ間や移動中の時間を活用した「ライド・メディア」と呼ばれる広告展開を推進しており、今後はリアルタイムでのターゲティング機能も追加する計画だということです。
こうした動きは、配車サービス業界全体に広がる戦略を反映したものです。ウーバーが配達や広告などを自社のネットワークに組み込んでいるのと同様に、インドライブも新興国における価格重視の顧客層をターゲットに、同様の収益化を目指す方針です。
新規事業の利用状況を示す初期のデータも明らかになっています。同社によりますと、2025年には月間利用者の13%が、配車サービスと少なくとも1つの配達サービスを併用したということです。
また、運転手向けの短期融資サービス「inDrive.money」も成長しています。中南米における2026年上半期の融資件数は、前年の同じ時期と比べて118%増加しました。このサービスは現在、メキシコ、コロンビア、ペルー、ブラジル、インドネシアで提供されています。
スミット氏は新規事業への具体的な投資額については言及を避けましたが、広告や金融サービス、配達事業は拡大に多額の資金を必要としない一方、食料品や料理の配達事業には集中的に投資を行う方針を示しました。関係者によりますと、同社は現在、提携先とともに調理済み食品の配達をテストしているということです。
事業拡大に向けた人事も進められています。食料品・料理配達部門の副社長には、配達サービス大手「デリバリーヒーロー」の元幹部であるラファエル・ゼヌー氏が就任しました。また、広告事業のトップにはグーグルの元幹部であるマックス・シリン氏を起用したほか、配達事業や金融サービス部門でもそれぞれ責任者を配置しています。
これらの新規事業が同社の収益にどの程度貢献しているかは、現時点では明らかになっていません。同社は広告事業の売上高などの詳細な開示を見送っています。しかし、スミット氏は、食料品や料理の配達事業が拡大することで広告の機会も増え、相乗効果が期待できるとしています。
