アメリカの配車サービス大手Uber(ウーバー)は、従来の配車や料理配達の事業にとどまらず、旅行関連サービスや自動運転向けのデータ収集など、新たな分野への事業拡大を推し進める戦略を明らかにしたと発表しました。
同社は過去1年間で、アプリ内に旅行予約サイト大手「エクスペディア」と提携したホテル予約機能や、日用品の買い物代行機能、ヨーロッパでのボートレンタル機能などを追加しました。同社の最高プロダクト責任者(CPO)を務めるサチン・カンサル氏によりますと、年間15億回に上る配車利用の大半が利用者の居住都市以外で行われているということです。このため、配車と料理配達に次ぐ「第3の柱」として旅行分野の強化を図る方針です。
一方で、アジアで普及しているような、あらゆる機能を提供する「スーパーアプリ」を目指すかについては、慎重な姿勢を示しています。運転手向けには報酬を受け取れる専用のデビットカードを提供するなど金融サービスを展開していますが、消費者向けの後払い決済などは外部の専門企業と提携するとしています。また、消費者向けの特典として、ホテル予約で1000ドル(約15万5000円)を利用した場合、100ドル(約1万5500円)分を自社の配車や配達に使えるクレジットとして還元する仕組みを導入しているということです。
自動運転の分野では、グーグル系の「ウェイモ」などと提携する一方で、一部の都市では競合関係にもあります。Uberは自社で完全な自動運転車を開発するのではなく、複数の企業と連携するための基盤作りに注力する方針です。その一環として、半年前に「AV Labs」と呼ばれる新たな事業部門を設立しました。この部門では、センサーを搭載した数百台の車両を配備し、膨大な走行データを収集することで、提携企業との関係強化を図るとしています。
さらに、新たな収益源として、生成AI(人工知能)企業向けのデータ提供事業も開始しました。これは、運転手や配達員が業務の空き時間に音声データの文字起こしなどを行い、報酬を得る仕組みです。同社は、乗客との会話を録音するものではないと強調しています。
アプリ内のAI活用も進んでおり、運転手向けに需要の高い地域を提案する機能や、音声での配車依頼機能などが導入されています。カンサル氏は、将来的にはAIが旅行全体の計画や予約を代行する機能の実現を見据えているとしつつ、現在は既存サービスの品質向上に最も多くの時間を割いていると説明しました。
