アメリカのトランプ政権は、完全自動運転車について、ブレーキペダルの搭載を義務付けないとする新たな規制の変更案を発表しました。
アメリカ運輸省(DOT)が提案したこの変更案は、「自動運転システムによってのみ運転されるよう設計された車両」を対象としています。承認されれば、ハンドルやペダルのない完全自動運転車の開発を進めるアメリカの電気自動車大手テスラや、IT大手アマゾン傘下のズークスなどにとって、実用化に向けた大きな規制の壁が取り除かれることになります。
アメリカ運輸省は今後、30日間にわたって一般からの意見を募集したうえで、変更案を承認するかどうかを決定する方針です。
トランプ政権下の運輸省は、これまでにも自動車関連の規制見直しを進めてきました。アメリカ国家道路交通安全局(NHTSA)は昨年後半にも、ワイパーや窓の曇り止めシステムなどに関する安全基準の撤廃を提案しています。また、こうした規制緩和の動きはバイデン政権時代から続いており、当時はハンドルなしでの自動運転車の走行を認める規則が最終決定されていました。
現在の制度では、国の安全基準を満たさない部品を使用する自動運転車を開発する場合、企業は連邦政府に特例措置を申請する必要があります。特例が認められた場合でも、公道を走行できる車両の数には制限が設けられているということです。
NHTSAは、ブレーキペダルなどの要件を撤廃することで、企業が自動運転車をより早く公道に導入できるようになるとしています。
NHTSAのジョナサン・モリソン局長は声明で、「私たちはT型フォード以来となる、自動車技術における最大の革命の入り口に立っています。アメリカがこの分野をリードするためには、規制の枠組みを根本から見直す必要があります」と述べました。そのうえで、技術革新を妨げる不要な障壁を取り除く一方で、基本的な安全要件は強化していく考えを示しました。
テスラはここ数年、ハンドルやペダルのない「サイバーキャブ」と呼ばれる2人乗りの自動運転車の開発を進めています。同社はこれまで安全基準の特例措置を申請していませんが、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、規制当局の承認が得られ次第、全国で車両を展開する方針を繰り返し示しています。
また、テスラは過去1年間、南部テキサス州オースティンで小規模なロボタクシーのサービスを試験的に運営してきました。当初は運転席に安全確認の担当者が座っていましたが、段階的に無人化を進めています。同社はNHTSAに対し、遠隔操作の担当者が監視を行い、事故の後や障害物を避ける際など、まれなケースにおいては低速で車両を遠隔操作していると説明しているということです。
一方、アマゾン傘下のズークスは昨年、専用に開発したロボタクシーの実証実験を行うため、安全基準の特例措置を申請して認められました。現在は、商業運行に向けた新たな特例措置の承認を待っている状態です。
なお、アルファベット傘下のウェイモのように、市販の車両を改造して手動の運転装置を残している企業は、すでに台数の制限なくロボタクシーを展開できる状況にあるということです。
