欧州のフィンテック企業であるフィノムは、約150億円(1億1500万ユーロ)の資金調達を完了したと発表しました。この資金はシリーズCラウンドとして調達され、同社の成長を支えることが期待されています。
フィノムは、アムステルダムを拠点とする5年目の新興企業であり、欧州の中小企業を対象に、銀行業務や請求書発行、AIを活用した会計機能を含む金融プラットフォームを提供しています。CEOのアンドリュー・ペトロフ氏は、「理論的には、起業家は会計士を必要としない」と述べています。
同社は2026年末までに100万のビジネス顧客を目指しており、新たな資金調達によりこの目標がより現実的になったとしています。このシリーズCラウンドは、AVP(旧AXAベンチャーパートナーズ)が主導し、新たな投資家としてヘッドラインが参加しました。既存の投資家であるコジトキャピタル、ジェネラルカタリスト、ノースゾーンも参加しています。
フィノムは、従来の銀行から顧客を獲得する方針を掲げており、この資金調達によりその計画が進むとしています。これまでの総資金調達額は約530億円(3億4600万ドル)に達しましたが、モンゾ、N26、レボリュート、ワイズといった競合他社に比べると、まだ少ない状況です。
フィノムの資金調達構造には、非伝統的な要素が含まれています。ジェネラルカタリストは、通常のベンチャーキャピタルとは異なり、フィノムに株式を提供せず、成長資金としてのみ使用される顧客価値ファンド(CVF)からの資金を提供しました。
この資金は、フィノムが収益性を達成するのに十分であると共同創設者で会長のコス・スティスキン氏は述べています。また、ペトロフ氏によれば、この資金は戦略的な買収にも使われる可能性があり、顧客基盤や製品ポートフォリオの拡大を目指しています。
フィノムは、主要市場で電子マネー機関(EMI)のライセンスで運営しており、オランダ、フランス、ドイツ、イタリア、スペインで事業を展開しています。これにより、オランダでの融資を開始し、クレジットサービスのテストを行っています。
フィノムはAI技術を活用し、内部業務の自動化を進めています。従業員数は500人ですが、新たなAIエージェントの導入により、業務効率を向上させる方針です。
フィノムのリーダーシップ構造も変化しており、ペトロフ氏が唯一のCEOとして指揮を執っています。同氏は以前、ロシアのデジタルバンク「モジュールバンク」を共同創業しており、今回は欧州の起業家を支援することに重点を置いています。