ドイツの自動車大手フォルクスワーゲンは、アメリカ南部テネシー州の工場で生産している電気自動車(EV)「ID.4」の生産を終了し、今後はガソリンエンジンを搭載するSUVなどの量販車種に経営資源を集中させると発表しました。
会社によりますと、アメリカの顧客は現在の在庫がなくなるまで「ID.4」を購入できるということです。在庫は2027年まで販売できる見込みだとしています。
世界の主要な自動車メーカーは、これまで掲げてきたガソリン車からEVへの急速な移行計画を見直す動きを見せています。一部のEVは人気を集めたものの、全体としての需要はメーカーの予測を下回っているということです。また、アメリカで昨年、最大7500ドル(約116万円)の税額控除の対象から外れたことも、高価格帯のモデルを中心に販売の落ち込みに影響したとみられています。
フォルクスワーゲンは2020年に「ID.4」の生産を開始し、価格は約4万5000ドル(約698万円)に設定していました。発売当初は注目を集めましたが、その後、ソフトウェアの不具合などで販売が低迷しました。2023年に改良モデルを投入したことで、一時的に販売は持ち直したということです。
アメリカでの「ID.4」の販売台数は、2023年に3万7000台を超えましたが、翌年には55パーセント減少しました。2025年には前年比31パーセント増の2万2373台に回復したものの、2年前の水準には届きませんでした。一方、世界全体でのEVの販売について、会社は今年1月、2025年の納車台数が約38万2000台となり、前年比で0.2パーセントの微減にとどまったと発表していました。
フォルクスワーゲンは今後、アメリカの工場で新たなモデルを生産する方針です。その中核となるのが、2027年モデルとして投入される次期型のガソリン車「アトラス」で、今年の夏に生産を開始し、秋には販売を始める予定だということです。
会社によりますと、「ID.4」の生産に携わっていた従業員については、「アトラス」の生産部門への配置転換を行うほか、一部の従業員には早期退職制度を提案しているということです。
フォルクスワーゲンは引き続きアメリカ市場を重視する姿勢を示しており、現地の消費者のニーズに合わせた新たな量販車種の開発を検討しているとしています。また、将来的に「ID.4」の新たなモデルを北米市場に投入する計画もあるとしていますが、具体的な時期や詳細については明らかにしていません。
