アメリカのIT大手メタ(Meta)は、個人のパソコンなどの端末で直接動作する新たなAIモデル「Muse Glimmer(ミューズ・グリマー)」を公開したと発表しました。マーク・ザッカーバーグCEOが掲げる「個人のための超知能」という構想を具体化するものだということです。
このモデルは、300億のパラメータ(変数)を持ちます。メタが今年4月に発表した高性能な非公開モデル「Muse Spark」をベースに、一般向けに無償で公開したものです。開発者は制限の少ない「アパッチ2.0」というライセンスに基づいてダウンロードし、必要に応じて改変できるとしています。
発表によりますと、新モデルは一般的なパソコン(MacやWindows PC)に搭載されている画像処理半導体(GPU)1つで動作するように設計されています。文章や画像を処理し、100以上の言語に対応しているということです。また、ツールの呼び出しやプログラミングの記述と修正、ファイルやスクリーンショットの操作など、複数の段階にわたる複雑な作業を実行できるとしています。
メタは、このAIがスケジュール管理やメッセージの作成、ファイルの整理といった日常的な作業に活用されることを想定しています。これらの作業には個人のデータへのアクセスが必要となりますが、情報をクラウドに送信せず、利用者の端末内で処理することで、プライバシーに配慮した仕組みを構築する方針です。さらに、インターネット接続の有無にかかわらず、いつでもどこでも常時稼働できる設計になっているということです。
このような方向性は、ザッカーバーグCEOが以前から示してきたメタの将来像と一致しています。同氏は昨年、高度なAIは一部の企業に独占されるべきではなく、個人の能力を引き出すために使われるべきだと主張していました。
ザッカーバーグCEOは今回の発表に合わせて新たな書簡を公開し、その構想を改めて強調しました。超知能を広く普及させることで、「個人が潜在能力を最大限に発揮し、生活や世界をこれまで以上に向上させることができる新たな時代が始まる可能性がある」としています。
書簡では、メタのAIが24時間体制で利用者の代理として働き、人間関係や健康、キャリア、家計管理などを向上させる具体的な利点が挙げられています。また、誰もが無料または手頃な価格でこれらのツールを利用できるようにすることが、最大の目標だとしています。
一方で、メタは安全性の懸念から、公開するモデルと自社で管理するモデルの区別を明確にする方針です。より高性能な「Muse Spark」は引き続き非公開とする一方で、小規模な「Glimmer」は利用者がダウンロードして自身の端末で実行できるようにしています。
今回の「Glimmer」の公開は、利用者が自ら所有できるAIと、企業が管理を続ける強力なAIとの間で、メタがどのように境界線を引くかを示す初期の指標になるということです。
