アメリカのIT専門メディアなどは、アメリカの自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)とフォード・モーターの2社が、投資家向けの決算説明会において電気自動車(EV)について言及する機会が大幅に減少しているという調査結果をまとめ、発表しました。両社はかつてEV開発に巨額の投資を行っていましたが、現在その戦略に変化が生じているということです。
IT専門メディア「TechCrunch」は、ニューヨークを拠点とする金融調査会社「ハドソン・ラボ」と共同で、過去7年間にわたるGMとフォードの四半期ごとの決算説明会を分析しました。その結果、両社がEVについて言及する割合は、新型コロナウイルスの感染拡大前よりも低下していることがわかりました。
この結果は、過去2年間の動向を踏まえれば驚くべきことではないと指摘されています。両社は新型EVの計画を変更、延期、あるいは完全に中止しており、それに伴う人員削減や工場建設計画の縮小も行っています。現在もEVの販売を継続し、新たなモデルの開発も進めていますが、企業としての全体的な焦点は移行しており、それがデータにも表れているということです。
GMの広報担当者は、「量よりも質が重要です」と述べています。声明の中では、「EVが最終的な目標であるという見解や、現在のポートフォリオの強み、EV顧客の技術に対する忠誠心、市場シェアの拡大、そして収益性を向上させるための新技術への継続的な投資について、私たちは明確かつ一貫して伝えてきました」としています。
一方で、「決算説明会では、ソフトウェアやサービス、自動運転技術といった成長分野の議論にも時間を割いています。また、貿易や規制政策の影響、資本配分など、投資家が関心を寄せる複雑なテーマにも対応する方針です」と付け加えました。
フォードの広報担当者は、来年立ち上げ予定の新たな「ユニバーサルEV」プラットフォームに言及しました。「生産ラインから送り出される最初の製品となる中型ピックアップトラックは、コスト、価格、技術の面でEV市場の最適な需要を満たすと考えています」としています。
なお、今回の分析では、アメリカ自動車大手3社のうちの1社である「ステランティス」は除外されました。同社はEVの導入で他社より遅れをとっていたほか、今年第1四半期まで詳細な決算説明会を年2回しか開催していなかったためだということです。
GMは他の主要メーカーに先駆けて大衆向けEVに注力し、2016年に「シボレー・ボルトEV」を発表しました。2019年から2020年にかけて投資が本格化するにつれ、決算説明会でもEVが主要なテーマとなりました。2020年後半には、説明会の約3分の1の時間がEVに関する議論に費やされたということです。
バイデン政権下では、世界的な半導体不足の影響を受けた2021年第1四半期を除き、各回の説明会の約4分の1をEVの話題に割いていました。しかし、トランプ大統領が就任し、ゼロエミッション車を優遇する環境規制を緩和したほか、新車EVに対する7500ドル(約116万円)の連邦税額控除が撤廃されたことで状況は変化しました。
記事によりますと、トランプ政権による関税政策が主な議題となった2025年第1四半期にEVへの言及が減少したほか、2025年第2四半期には82回だった言及回数が、直近の2026年第2四半期にはわずか21回にまで激減したということです。現在、GMは「EVの生産能力と製造拠点を規制政策の変化に適応させた」と説明するにとどまっています。
一方のフォードは、2019年後半に「マスタング・マッハE」を発表し、本格的に大衆向けEV市場に参入しました。2021年の「F-150ライトニング」の発売などもあり、バイデン政権下では決算説明会の約3分の1をEVの議論に費やしていました。
しかし、2024年の大統領選挙を前に、フォードはEVへの言及を減らし始めました。同社は大規模なEV投資の一部を縮小し、新たなプラットフォームの開発に方針を転換しました。トランプ政権発足後は、保護主義的な貿易政策への支持や、利益率の高いガソリン車のトラックへの注力について、より多くの時間を割くようになったということです。
フォードのジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)は直近の説明会で、「手頃で汎用性の高いEVに投資することで、大規模な競争力を持つ企業になる」と強調しましたが、投資家がその成果を目にするのは少なくとも来年以降になる見通しだということです。
