徹底した健康管理を行っていた起業家が希少がんと診断され、生成AIを活用して自身の医療データを分析し、最適な治療方針を導き出したことが明らかになりました。AIが患者の意思決定を支援する新たな事例として注目されています。
医療機関向けのAIプラットフォーム「Keragon」の創業者であるコノ・クリストウ氏は、ウェアラブル端末を用いて睡眠や生体データを常時記録し、最新の健康研究に基づいた生活を送っていました。しかし、35歳だった2025年、腕の腫れをきっかけに病院を受診したところ、進行が早い希少な非ホジキンリンパ腫と診断されたということです。このがんは生活習慣とは無関係の遺伝子変異によるもので、発見が数週間遅れていれば末期に達していたとされています。
クリストウ氏は治療にあたり、起業家としてのデータ分析の手法を応用しました。最初の担当医からは比較的負担の少ない抗がん剤治療を提案されましたが、別の医師からはより強力な治療を推奨されました。同氏はさらに国内外の専門家12人から意見を集め、最終的に成功率が高いとされる強力な治療法を選択したということです。
6か月にわたる治療期間中、クリストウ氏は生体データや症状の記録、血液検査の結果などを対話型AI「Claude(クロード)」に入力し、分析を行いました。専門家は一般的なAIの医療利用に慎重な姿勢を示していますが、同氏は「AIは医師の代わりにはならないが、医師に適切な質問をするための助けになった」としています。
治療終了後のPET検査で、がんが残存している可能性を示す結果が出た際にも、AIによる分析が重要な役割を果たしました。担当医は放射線治療の追加を検討しましたが、クリストウ氏が検査データをAIに入力したところ、化学療法後に胸腺が回復する過程で異常として検出される「胸腺リバウンド」の可能性が約90%であると提示されました。その後、別の専門家に確認した結果、AIの推測通り胸腺リバウンドであることが判明し、不要な放射線治療を回避したということです。
クリストウ氏は現在、医療機関の事務作業を自動化する事業を展開しています。自身の患者としての経験を通じて、医療従事者が膨大な事務作業に追われている現状を再認識したとしています。同氏は「AIが患者を支援する時代は10年後ではなく、すでに今日起きている」と述べ、医療分野におけるAIの活用に期待を示しています。
