アメリカの電気自動車大手テスラが公開した資料によりますと、同社が開発を進める自動運転タクシー「ロボタクシー」について、今年第2四半期の有料乗客を乗せた走行距離が、第1四半期を下回ったことが明らかになりました。
イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)はこれまで、低コストで大規模なロボタクシー事業に会社の将来を懸ける姿勢を示してきました。しかし、中核である自動車事業の利益が市場予想を下回ったことも重なり、テスラの株価は決算発表後の取引で13%以上急落しました。
テスラが公開したグラフのデータを四半期ごとに分析すると、多目的スポーツ車(SUV)「モデルY」を使用したロボタクシーの有料走行距離は、第1四半期の約110万マイル(約177万キロ)から、第2四半期には約70万マイル(約112万キロ)へと約36%減少したということです。
テスラは現在、テキサス州やフロリダ州の6都市で、監視員付きおよび監視員なしの車両を混在させてサービスを展開しています。また、カリフォルニア州サンフランシスコ湾岸地域での走行距離も含まれているとみられますが、同地域では完全自動運転の許可を得ておらず、安全確認用のドライバーが同乗しているということです。
走行距離が減少した背景について、マスクCEOは決算発表の電話会見で、専用車両である2人乗りセダン「サイバーキャブ」に特化した運転データを蓄積する必要があるためだと説明しました。これまでテスラは、すでに販売した約1000万台の顧客車両から自動運転用のデータを収集していると主張してきましたが、今後はサイバーキャブの車体に合わせた調整が不可欠だとしています。
さらに、事業拡大のペースについて、経営陣は安全性を最優先しているためだと強調しました。マスクCEOは「もし1人でも負傷させれば世界的なニュースとなり、規制当局から直ちに厳しい措置を受けることになる」と述べ、事故によるメディアの批判や規制強化への警戒感を示しました。これまでテスラは、ロボタクシー普及の最大の障壁は「規制」であると主張してきましたが、現在は「安全性の証明」が課題であると方針を転換しています。
テスラのAI部門担当幹部は、監視員なしでの38万マイル(約61万キロ)以上の走行において「重大な事故はゼロだった」と述べています。一方で、アメリカの運輸当局(NHTSA)への報告によりますと、試験運用開始からの1年間で22件の衝突事故が報告されています。大半は他車からの追突ですが、遠隔操作中の事故や、縁石や電柱などへの低速での接触も含まれているということです。
テスラは、他社が採用する高価なレーダーなどのセンサーを使用せず、カメラのみで安全な自動運転を実現するという技術的方針を維持しています。マスクCEOらは、監視員なしの走行距離が昨年末から毎週約10%のペースで増加していると指摘し、「今後も急速に規模を拡大していく」として、将来の成長に自信を示しました。
