アメリカで自動運転タクシー、いわゆる「ロボタクシー」が救急車などの緊急車両の通行を妨げる事案が相次いでいることを受けて、アメリカ連邦議会に自動運転車の安全基準を設けるよう求める新たな法案が提出される見通しになったということです。
カリフォルニア州選出のケビン・マリン連邦下院議員は、自動運転車の運行会社に対し、全国的な最低安全基準を設けるよう規制当局に指示する法案を今週中に議会に提出する方針です。アメリカではこれまで、自動運転車が救急車や消防車の進路を塞いだり、犯罪の捜査現場に進入したりするトラブルが報告されています。また、カラーコーンや発炎筒などの安全標識を認識できない事例も起きています。
マリン議員らが提出する「自動運転車・緊急対応調整法案」は、こうした事態を受けて策定されたものです。自動運転車の試験走行が盛んに行われているサンフランシスコで開かれた記者会見で、マリン議員は「自動運転車が緊急車両の活動を妨げる事案が容認できないほど発生している」と指摘しました。
会見に同席したサンフランシスコ消防局のクリスペン局長も、ロボタクシーが消防署や救急車の待機施設の目の前で乗客を乗降させ、出動を妨げているとして、改善が必要だという認識を示しました。
法案では、自動運転車の運行会社に対し、緊急時の対応手順を明確にすることや、自治体の担当者が直接連絡できる24時間対応の窓口を設置することを求めています。さらに、アメリカ運輸省道路交通安全局(NHTSA)に対し、全国的な安全基準を策定するよう指示する内容となっています。
また、緊急時や危険が発生している際に、自治体側が自動運転車の走行エリアをリアルタイムで制限できる仕組みの導入も盛り込まれています。これにより、企業側の自主規制を待つことなく、自治体が主体的に安全を確保できるようになるとしています。
この法案について、自動運転開発大手の「ウェイモ」は、「自動運転車の基準を定める連邦政府の枠組みを以前から支持している」とする声明を出しました。同社は、業界全体に統一された基準が設けられることで、緊急車両の対応がより確実になるとしています。
自動運転車をめぐっては、アメリカ運輸省道路交通安全局が今年7月、開発各社に対して緊急車両の妨げとなっている問題への解決策を提示するよう求めていました。また、サンフランシスコのルーリー市長も、自動運転車による大規模な交通渋滞が発生したことを受けて、カリフォルニア州の規制当局にルールの厳格化を求めており、安全確保に向けた規制強化の動きが広がっています。
