アメリカの配車サービス大手Uber(ウーバー)は、過去2年間で30社以上の自動運転関連企業と提携および直接出資を行い、世界規模で自動運転事業を拡大する方針を発表しました。
Uberはかつて、自社で自動運転技術の開発を進めていました。2014年に専門部門を設立し、公道でのテスト走行を実施していましたが、競合他社との訴訟や2018年の死亡事故などを経て、開発プログラムを再編しました。
その後、経営陣の交代に伴い、同社は戦略を大きく転換しました。2020年には自動運転部門を売却し、人間が運転する配車や配達といった中核事業に集中する方針を示しました。しかし、完全に関係を絶ったわけではなく、売却先の株式を保持し続けていました。そして近年、再び自動運転分野での提携を本格化させているということです。
同社が提携・出資を進めている主な企業と事業展開は以下の通りです。
【ロボタクシー・乗用車分野】 Uberは、複数の自動車メーカーや技術企業と協力し、配車アプリ上でロボタクシーを提供する計画を進めています。
新興EVメーカーのLucid Motors(ルーシッド・モーターズ)に対しては、初期投資の3億ドル(約465億円)に加え、追加で2億ドル(約310億円)を出資したということです。同社の車両を最低3万5000台購入し、プレミアムなロボタクシーサービスを展開するとしています。
また、EVメーカーのRivian(リビアン)とは最大12億5000万ドル(約1938億円)規模の契約を結びました。初期投資として3億ドル(約465億円)を出資し、2031年末までに北米や欧州の25都市でロボタクシーを展開する方針です。
中国の自動運転企業WeRide(ウィーライド)には1億ドル(約155億円)を追加出資し、中東や欧州の複数都市でサービスを展開するとしています。同じく中国のBaidu(百度)やMomenta(モメンタ)、Pony.ai(ポニーエーアイ)とも提携し、欧州や中東での市場拡大を図るということです。
このほか、Alphabet(アルファベット)傘下のWaymo(ウェイモ)や、Amazon(アマゾン)傘下のZoox(ズークス)、Volkswagen(フォルクスワーゲン)、Stellantis(ステランティス)、Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)などとも提携し、各社の自動運転車両をUberのネットワークに統合する方針です。なお、GM傘下のCruise(クルーズ)とも提携していましたが、同社がロボタクシー事業を縮小したため、現在は計画が中止されています。
【自動運転トラック・物流分野】 物流部門のUber Freight(ウーバー・フレイト)を通じて、自動運転トラックの導入も進めています。
かつて自社の自動運転部門を売却したAurora(オーロラ)とは、テキサス州での自動運転トラックによる輸送で協力しています。また、Volvo Autonomous Solutions(ボルボ・オートノマス・ソリューションズ)や、Daimler(ダイムラー)傘下のTorc Robotics(トルク・ロボティクス)とも提携し、データ分析や実際の貨物輸送を行っているということです。
さらに、自動運転トラックを開発するWaabi(ワービ)に対しては、資金調達ラウンドを通じて約2億5000万ドル(約388億円)を出資し、関係を強化しています。
【配達ロボット・ドローン分野】 食品配達サービスのUber Eats(ウーバーイーツ)では、歩道走行型の配達ロボットの導入を拡大しています。
Avride(アブライド)とは、3億7500万ドル(約581億円)の戦略的投資および商業契約を結び、配達ロボットと自動運転車の両方を展開するとしています。また、Serve Robotics(サーブ・ロボティクス)、Cartken(カートケン)、Coco(ココ)、Starship Technologies(スターシップ・テクノロジーズ)といった企業と提携し、アメリカ国内や欧州、日本(大阪)などでロボットによる配達サービスを実施、または計画しているということです。ドローン配達のFlytrex(フライトレックス)にも少額の出資を行っています。
【技術開発・フリート管理分野】 自動運転を支える基盤技術や、車両の維持管理(フリート管理)においても提携を進めています。
半導体大手のNvidia(エヌビディア)とは、同社のAIプラットフォームを活用してロボタクシーの展開を加速させる方針です。イギリスの自動運転スタートアップWayve(ウェイブ)には、最大3億ドル(約465億円)の追加出資を行う可能性があり、日産自動車のEV「リーフ」を用いた東京での実証実験も計画しているということです。
自動運転技術を開発するNuro(ニューロ)に対しては、約5億ドル(約775億円)を投資し、同社の技術を他社の車両に搭載してサービスを提供するとしています。
また、レンタカー大手のHertz(ハーツ)や、欧州のAvomo(アボモ)、中東のNew Horizon(ニューホライズン)やTawasul(タワスル)といった企業と提携し、自動運転車両の充電、清掃、保守点検などの日常的な管理業務を委託する体制を整えているということです。
Uberは、自社での車両開発から撤退したものの、自社の巨大な配車・配達ネットワークをプラットフォームとして提供することで、世界の自動運転市場における主導権を握る戦略を鮮明にしています。
