アメリカの自動運転車(ロボタクシー)業界において、開発を後押しする連邦政府と、安全面から規制強化を求める地方自治体との間で、対応に大きな違いが生じていることが明らかになりました。また、モビリティ関連企業各社は、資金調達や新たな事業戦略を相次いで発表しています。
アメリカ運輸省道路交通安全局(NHTSA)は、自動運転技術の開発と導入を加速させるための規制緩和策を発表しました。特に注目されているのは、Amazon傘下の自動運転車開発企業「Zoox(ズークス)」に対し、連邦自動車安全基準の適用を一時的に免除する決定を下したことです。これにより、同社は専用設計されたロボタクシーを用いた有料の配車サービスを開始できることになります。同社はまず、ネバダ州ラスベガスで有料サービスを開始する方針です。
一方で、Waymo(ウェイモ)などのロボタクシー事業者に対し、地方自治体は監視の目を強めています。カリフォルニア州サンフランシスコ市のダニエル・ルーリー市長は、ロボタクシーが緊急車両の通行を妨害する事案が相次いでいるとして、州の規制当局にルールの強化を求めました。さらに、連邦議会下院のケビン・マリン議員は、自動運転車の運行事業者に対する全国的な最低安全基準を設ける法案を提出したと発表しました。
新興EVメーカーのLucid Motors(ルーシッド・モーターズ)は、サウジアラビア王室のアルワリード・ビン・タラール王子から新たな出資を受けたと発表しました。規制当局への提出書類によれば、同王子は約1900万株(発行済株式の約5%)を取得したということです。
また、イーロン・マスク氏が率いるトンネル掘削企業The Boring Company(ボーリング・カンパニー)は、企業価値を200億ドル(約3兆1000億円)と評価した上で、新たに40億ドル(約6200億円)の資金調達に向けて協議を進めているとしています。
商用車向けデータ基盤を提供するカナダのスタートアップ企業Terminal(ターミナル)は、シリーズAラウンドで2000万ドル(約31億円)の資金を調達したと発表しました。
無人航空機(ドローン)による配達サービスも拡大しています。小売大手ウォルマートとGoogle傘下のWing(ウィング)は、フロリダ州中部でサービスを開始しました。さらに、料理宅配大手のDoorDash(ドアダッシュ)は、自社開発の機体を含む独自のドローン配達事業を構築していると発表しました。将来的には自社のアプリ内で運用する方針です。
一方、フロリダ州は、連邦政府の電気自動車インフラ整備計画に基づく補助金2億ドル(約310億円)について、EV用の充電設備ではなく、電動垂直離着陸機(eVTOL)向けの充電ステーションを備えた離着陸場32カ所の建設に充てる方針を明らかにしました。
高級車メーカーのフェラーリは、同社初となる完全電気自動車「Luce(ルーチェ)」の今年の販売目標をわずか2カ月で達成したと発表しました。
イギリスの首都ロンドンでは、ロボタクシーの導入に向けた競争が激化しています。中国のIT大手・百度(バイドゥ)は、配車サービス大手Lyft(リフト)などと提携し、ロンドン市内で自動運転車のテスト走行を開始しました。2027年には一般向けにサービスを提供する計画です。WaymoやUber(ウーバー)も同市内でのサービス展開に向けた準備を進めています。
EV大手テスラをめぐっては、アメリカの経済紙ウォール・ストリート・ジャーナルが、宇宙開発企業SpaceX(スペースX)との合併を視野に、テスラが中国事業の売却を検討していると報じました。なお、テスラはこれまでに累計1000万台のEVを製造したと発表しています。
また、Waymoのロボタクシーは、工事区間での安全性が懸念され高速道路での走行を停止していましたが、2カ月ぶりに走行を再開したということです。
一方、アメリカの自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)とフォード・モーターの2社について、四半期決算説明会での発言を分析した結果、両社とも新型コロナウイルス感染拡大前と比べて、EVに関する言及が減少していることが分かりました。両社は依然としてEVの販売や新モデルの開発を続けているものの、事業全体の焦点が変化していることがデータに表れているとしています。
